2014年4月19日土曜日

第14回中北海道現代俳句賞受賞作 『結婚指環』

 
 
去る4月6日、第23回中北海道現代俳句大会に於いて、【itak】参加者である瀬戸優理子(せと・ゆりこ)さんの第14回中北海道現代俳句賞の顕彰が行われました。許可を頂いて、作品を掲載させていただきますのでご高覧くださいませ。
また同日同大会に於いて、旭川東高校の荒井愛永(あらい・まなえ)さんの「手ぶくろをはかずに君を待っている」が札幌市長賞を受賞しました。【itak】からの本大会の案内メールがきっかけで応募されたそうで、両者ともにご縁を強く感じるものです。
瀬戸さん、荒井さん、改めまして受賞おめでとうございます。
 
 
 
 
 
 
 
「結婚指環」  瀬戸 優理子
 
 
 
覚め際に馬の嘶き春の雪

芹噛んで透きとおる声賢治読む

桃の日の少女返事す揺りかごに

皿沈む水のゆらめき春愁い

朧夜の背中のファスナーひっかかる

ラストシーン十秒前の青嵐

夏の浜すとんと脱げる服を着て

夫いない夜揺れている冷奴

夜濯ぎの結婚指環泡立ちぬ

遠花火ぽかんぽかんと舟を漕ぐ

秋暑し瞬きもせず兎の眼

団栗や音階が野に溢れだす

十六夜の光の櫛で髪を梳く

鬼灯や全身染まるまで黙秘

さよならをなめらかに言うのどぼとけ

門限に帰りそびれし寒三日月

手鏡に手で蓋をする去年今年

粉雪のように米舞う中華鍋

如月の受話器に当たる耳の骨

この生傷荒星として輝かす
 
 
 
瀬戸優理子 blog 癒詩空間
 
 
 
 
 

 

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