2014年4月27日日曜日

仲寒蝉「巨石文明」を読む ~栗山 麻衣~


巨石文明
 いやあどうもどうも。栗山麻衣でございます。なんかこのところキナ臭いっつうか、威勢良すぎて不気味つうか、あべっちとかもみいっちとか、ワタクシに言われるのもナンダカなーっつうところかもしれませんが、はっきり言ってオバカなんじゃなかろかと思う日々。あ、失礼。思わず口が滑りました。てへ。ちなみに、某ソーリ大臣と某国営放送会長のことでございます。

 というわけで、
仲寒蝉の第二句集
「巨石文明」だ!


  気がつけば頭上に国家雪催ひ


 国家と言えばあーた。摂津幸彦さんの名句「国家よりワタクシ大事さくらんぼ」を思い出しますが、掲句の場合、国家がいつの間にかアタマの上に載っている。摂津さん時代よりさらに切実な感じがいたします。国家より自分が大事とか言ったら、非国民とか言われちゃう日も遠く無い感じ。俳句と時事ネタは相性があまりよろしくないと言われますが、きちんと咀嚼した上でならばグッとくる作品になるのですね。


  夕焼けの原発すでにして遺跡


  3・11で起きた事故がいまだに収束していない福島第1原発。発が既に遺跡のように見えると詠んだ掲句は、あらゆる事柄に対して謙虚さを忘れた人類がいずれ息絶えてしまうことを予言しているようにも受け取れます。句集名にもなっている作品巨石文明滅びてのこる冬青空」や、原発を詠んだ別の作品原発を指して顔なき案山子かな」などと共に、心に苦さと哀しみをもたらします。

  寒蝉さんは1957年、大阪市生まれ。信州大医学部を卒業後、環器系の内科医として働きつつ俳人としても活躍。これまでに登場した新聞記事などによると、39歳のころ、知らない分野にチャレンジしてみたいと俳句を始めたのだとか。
2005年には角川俳句賞を受賞。選考委員を務めた俳人正木ゆう子さんは「観念的な想像の世界の句と実を詠んだ句が両方ある。楽しさ、医師という職業からの深み、古典への造詣、社会詠を兼ね備えた俳人像を期待したい」と評しています。

 ついつい社会派系の作品を紹介してしまいましたが、実は小さな命に目を向けた句もすてきです。蕗の薹空が面白うてならぬ」とか「野分来と猫には猫の情報網」「太陽のうごけばうごく蝸牛」とかとか。いやーん。かわゆか。そういう視点があるからこそ、会派作品も上っ面の標語調にならず、地に足の付いた胸に迫る表現になるのかもしれません。ほら、よく女優さんなんかがどんな役でも、舞台で演ずる時には、自分がそれまでをどう生きてきたかが出る」 と言うじゃないですか。アレと同じです。

 背伸びしがちなワタクシではございますが、まあ地道にこつこつやっていくしかないなあと気を引き締めさせていただいた次第。あ、ちなみに今回の拙文、冒頭はじめもろもろ、ご不快に思われる方もいらっしゃったかもしれませんが、ほら、そこはそれ。オンナコドモ&セミということでひとつよろしく! ではでは、あざした。


☆栗山麻衣(くりやま・まい 俳句集団【itak】幹事 銀化同人)


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