2014年1月31日金曜日

「 尋ねビト 」   田中 枢







 
 
 
☆田中 悠貴 (たなか・ゆうき)
 1995年生まれ。琴似工業高校年生、迅雷句会 会員。
 平成24、25年度俳句甲子園札幌大会出場。
 第13回高校生ものづくりコンテスト北海道大会・化学分析部門優秀賞(全道2位)。
 北海道高等学校文化連盟 第九回石狩支部文芸コンクール・俳句部門 佳作
 
 
 
 

「 和敬静寂 」   カザマックス




 
 
 
☆風間 弥 (かざま・わたる)
 1996年生まれ。琴似工業高校年生。
 平成25年度俳句甲子園札幌大会出場。
 北海道高等学校文化連盟 第九回石狩支部文芸コンクール・俳句部門 佳作
 第28回全国高等学校文芸コンクール・俳句部門 入選。
 
 
 
 

「 未熟記 」   のぶじい





 
 
 
☆川中伸哉 (かわなか・しんや)
 1996年生まれ。琴似工業高校年生、文芸部部長。
 平成24、25年度俳句甲子園札幌大会出場。
 北海道高等学校文化連盟 第九回石狩支部文芸コンクール・俳句部門 佳作
 
 
※五句目「初夏や」は「初夏の」の誤植でした。お詫びして訂正いたします(事務局)。
 
 

「 氷柱から水滴 」   宮川 双葉

 



 
 
 
☆宮川 双葉 (みやかわ・ふたば)
 1997年生まれ。琴似工業高校年生、文芸部副部長
 平成25年度俳句甲子園札幌大会出場。
 
 

2014年1月29日水曜日

俳句集団【itak】第12回 講演者紹介


月岡 道晴(つきおか・みちはる)


國學院大學北海道短期大学部准教授・歌人。長野県出身。國學院大學大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期単位取得。同大学院教務補助員、國學院短期大学非常勤講師、専任講師を経て現職。著書(共著)に『古事記がわかる事典』、『万葉集神事語辞典』など。上代文学会、萬葉学会、美夫君志会、古代文学会、日本文学協会の各学会に所属。また、歌人としてさまざまな雑誌・新聞等に寄稿(『歌壇』『短歌現代』『短歌新聞』など)。著書(共著)に『太陽の舟 新世紀青春歌人アンソロジー』。

朝日カルチャーセンター 札幌教室
「人麻呂恋歌拾い読み」 開講中。


第一部 講演会

『短詩型における「文語」と「口語」~信仰としての二分類~』

短歌・俳句等の短詩形においては、〈文語〉と〈口語〉という二分類がいまでも通用しており、しかもそれがしばしば作品の方法として議論の焦点に浮上してきます。
この場合、必然的にそのジャンルで作られてきた作品の歴史性や規範性が問題になり ますが、そもそも短詩形の歴史において、「文語の作」、「口語の作」とはどういった位相に おいて捉えられるものなのでしょうか。
その作品を無心に観察する際、意外にもこの二者には明確な隔たりとすべき点が実は見出せません。
それではなぜこの二者は異なるものとして現代でも対立的に論じられるのでしょうか。




<第12回俳句集団【itak】イベントご案内>

*と き  平成26年3月8日(土)午後1時~4時50分
*ところ  北海道立文学館(札幌市中央区中島公園1番4号)
*参加料 一般500円、高校生以下は無料

●第1部  國學院大學北海道短期大学部准教授・歌人
       月岡道晴氏による講演会
       『短詩型における「文語」と「口語」~信仰としての二分類~』
●第2部  句会(当季雑詠2句出句)
●懇親会のお申し込みもお受けしております
 詳細お問い合わせはEメール(itakhaiku@gmail.com)へ。


※今回は休憩時間などに、某有名俳人から【itak】に寄贈された約100冊の文芸書を無料でお分けします。お互いに譲り合いつつ、ご遠慮なくお持ちください。

2014年1月27日月曜日

第12回俳句集団【itak】イベントのご案内


第12回俳句集団【itak】イベントのご案内です。


俳句集団【itak】事務局です。
もうすぐ節分、季寄せ、歳時記の上では春となります。
第11回講演会・句会には64名のご参加をいただきました。
三連休初日のご参加、ありがとうございます。

下記内容にて【itak】の第12回 講演会・句会を開催いたします。
どなたでもご参加いただけます。
今回は國學院大學北海道短期大学部准教授・歌人の月岡道晴さんによる講演会を行います。多くの方々のご参加をお待ちしております。
第一部のみ、句会の見学のみなどのご参加も歓迎です。

実費にて懇親会もご用意しております。お気軽にご参加ください。

◆日時:平成26年3月8日(土)13時00分~16時50分

◆場所:「北海道立文学館」 講堂
     札幌市中央区中島公園1番4号
     TEL:011-511-7655

■プログラム■

 第一部 講演会

 『短詩型における「文語」と「口語」~信仰としての二分類~』
  國學院大學北海道短期大学部准教授・歌人 月岡道晴

 第二部 句会(当季雑詠2句出句)

 <参加料>
 一   般  500円
 高校生以下  無  料(但し引率の大人の方は500円を頂きます)


※出来る限り、釣り銭の無いようにお願い致します。
※イベント後、懇親会を行います(実費別途)。
 会場手配の都合上、懇親会は事前のお申し込みが必要になります。
 会場および会費など、詳細は下記詳細をご覧ください。


※今回は休憩時間などに、某有名俳人から【itak】に寄贈された約100冊の文芸書を無料でお分けします。お互いに譲り合いつつ、ご遠慮なくお持ちください。



 
■イベント参加についてのお願い■

会場準備の都合上、なるべく事前の参加申込みをお願いします。
イベントお申込みの締切は3月5日とさせて頂きますが、締切後に参加を決めてくださった方もどうぞ遠慮なくこちらのメールにお申込み下さい。
なお文学館は会場に余裕がございますので当日の受付も行います。
申し込みをしていないご友人などもお連れいただけますのでどなたさまもご遠慮なくお越しくださいませ。
参加希望の方は下記メールに「第12回イベント参加希望」のタイトルでお申込み下さい。
お申し込みには下記のいずれかを明記してくださいませ。
①講演会・句会ともに参加
②第一部講演会のみ参加
③第二部句会のみ参加(前日までにメール・FAXなどで投句して頂きます。)
特にお申し出のない場合には①イベント・句会の通し参加と判断させて頂きます。

■懇親会詳細と参加についてのお願い■

 会場:地の酒地の酉・まる田 七番蔵
    札幌市中央区南2条西4 フェアリースクエアビル1階

 
 時刻:17:30~19:30
 会費:4000円(飲み放題つき)

※イベント受付時にご精算をお済ませください。
※当日のキャンセルは後日会費を申し受けます。

準備の都合上、こちらは必ず事前のお申し込みをお願いします。
懇親会申し込みの締切も3月5日とさせて頂きます。
以降はキャンセル待ちとなりますがお問い合わせください。
参加希望の方はイベントお申し込みのメールに ④懇親会参加 とお書き添えください。

   
itakhaiku@gmail.com

ちょっとでも俳句に興味ある方、今まで句会などに行ったことのない方も、大歓迎です!
軽~い気持ちで、ぜひご参加ください♪
句会ご見学のみのお申込みもお受けします(参加料は頂戴します)。

北海道立文学館へのアクセス
※地下鉄南北線「中島公園」駅(出口3番)下車徒歩6分
※北海道立文学館最寄の「中島公園」駅3番出口をご利用の際には
①真駒内駅方面行き電車にお乗りの方は進行方向先頭部の車両
②麻生駅方面行き電車にお 乗りの方は進行方向最後尾の車両に
お乗りいただくと便利です。




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2014年1月25日土曜日

俳人 渡辺とうふ ~冬の札幌アイロン踊り~

 
 
  
 
 
20140111・ホテルさっぽろ芸文館前
 
 
 
☆渡辺とうふ(わたなべ・とうふ 新世紀俳人 東京都青梅市)
 かえってきた渡辺とうふ店 http://yudofu819.exblog.jp/ ( 2014/1/7閉店中 )


※俳句ギャラリーはしばらく続きます。(事務局)。
 
 


2014年1月23日木曜日

【itakスタッフ】りっきーリポート#9 道内の高校生がいっぱい来た!の巻

 
 
 
 
11日、晴れ。
・・・いやぁ、ホント良かったですよぉ。 何がって 前日までの天気予報では道内は荒れに荒れまくるということで、私りっきー、無事札幌まで来れるか不安でございました。 今回は都市間バスで移動したけど、いつも乗るJRがどうやら天候不良だか何だかで途中止まったらしいということで、Boss五十嵐さんから焦り気味のメールをいただきました。いやぁ、ご心配おかけしまして。
 
・・・まぁ五十嵐さんが焦るのも無理はない。今回の【itak】参加お申込みは過去最高の60人超え。句会も端から50人以上が参加する予定だったんですよ。んなもんだから、幹事の仕事がいつも以上に大変でBossも心配したんですよねぇ。 ともあれ、無事札幌に着いてよかったよかった。
 
さて、開場してみると改めて60人という数はなかなかに壮観でした。ひょっとしたら幹事達はみんな立ち見で終始過ごさなきゃならないかな~~、なんて心配もありましたが、ギリギリ席が間に合ったようで。・・・正直時間立ちっぱなしって、キツイからなぁ。そして会場は人多すぎで酸素薄っw


今回は参加人数もさることながら、若者達の参加がいつにも増して多いというのが嬉しかったですねぇ。 今や常連さんとなってる琴似工業高校から名、そして今回は旭川東高校から遠くからよくお越し下さいましたω;`)ブワッ) それと講演会のみだけど、北海学園札幌高校からも名来てくれました。
みんな、ありがとうちょうど冬休みというタイミングもあってか、遠方からも来やすかったですよね。 よかっぱよかっぱ(´Д)そうそう、今回初参加の旭川東高校は、俳句甲子園に北海道代表として数年にわたり出場してるんですよね。 特に年生の君は色んなところで入賞してるそうで、なかなか期待の持てる次代の俳人になりそう。 道外に進学するようだけど、これからの活躍を楽しみにしているよ。卒業する子も進級する子も頑張ってね。
 
 
句会の中で彼ら高校生達の俳句や選評を聞いてると、やはり旭川東の皆は上手というか、句を読んで的確な言葉でそれを伝える力、そういう点で琴似工業より一歩リードしてるかな、という感想を持ちました。さすが普段から揉まれてるだけあるなぁ。でも琴似工業のみんなも、初めて来た頃より格段に俳句も選評も上達してるから、自信を持って頑張ってほしいなぁ。
おっと、そういえば驚くことが一つ。この日の句会は小学生の男の子も投句してくれたんだったしかもちゃんと点数が入ってるしいつもママさん俳人に付き添ってくる男の子だけど、会場着いてから急に思い立って投句してくれたんだよねぇ。しかもベテランさんから点数もいただいてるし。これには会場も盛り上がりましたよ。当の本人はポカンとして、ママの方が恐縮しまくってたけど(´∀)こりゃそのうちママより有名になっちゃうかもね。ちなみに男の子の句は以下の句です♪
 
 
  雪虫よ短い命こわくない             しんちゃん
 
 
こうやって新しい学生の輪ができると、【itak】参加してて楽しいなぁなんて思いますよぉ。ホントに。俳句を通じて新しい人との繋がりができるのもそうだし、若い子たちが目に見えて成長してくのを見ると、嬉しいのと同時に「おっと、オレも頑張らねばっ(`・ω´)ヌン」とこちらもヤル気が湧き上がってくるし。なかなかにスパイシーな集団ですよ、【itak】は。( ̄ー ̄)ニヤリ
 
今回来れなかった学校の君も、次回はちょっと顔だけでも出してみたいなぁ何て思ってるあなたも、気軽に事務局にメールで問い合わせて下さいね。事務局のオネーサンが親切丁寧にご案内してくれるから。(オネーサンがねー( ̄ー ̄)
 
 
次回は短歌の月岡さんが講演だ現役の大学准教授の講演だぞ
日も道立文学館にGO!!
 
 


※高校生の句に対する句評や、高校生の選評に対するご意見などは、【itak】事務局で随時お受けしております。甘口辛口、ご遠慮なくお知らせください。


2014年1月21日火曜日

「Hey! 大洗サンビーチ」  渡辺とうふ



「Hey! 大洗サンビーチ」

 

空を知る空を知る空を知る いま

千代に八千代に春の代に 君の公魚舟よ

冬の雷さくらホテルで脱いでくれ

夕焼ける三六食堂のしょうゆラーメン

海が鳴る三六食堂のみそラーメンに

 

寒月や海から橋を削り出す

圏外の二文字か俺は船の夜

伴侶とは巨き船なり寒暁の

冬鷗船はあなたの父でなく

冬の虹ひとり蒸発モエレ山

雪煙に光の一句書き付けよ

冬の月六角晶に来て眠れ

祝おうや氷柱に生まれ軒を知る

判決を待っております中の雪

寒鴉 金子みすゞの片頬、窓ガラス

 

ギターは裸足の男や雪が降る

ゆきふるやゆきふりつむや人形寺

人形の髪伸びている氷点下

ストーブよ人は扉と如是我聞

メープル茶今となってはヲルゴール

 

骨壺の重み抱き締め、雪をふむ

俺の貌 ホワイトアウトす骨が鳴る

どこでもないどこでもないさ屋根のゆき

女たち五右衛門風呂をよろしく

鷲の爪の如き髪留め買ってやる

雪の夜誰のエコーか口ずさむ

湯豆腐よ憲法なんぞ歌ってやるぜ

除雪機の上にも雪のふり積もる

寝酒でも五十嵐という男たち

吹雪から彩を織りなす女の手

師を憎み骨を憎まず尿する

冬の灯で不可触民の話聞く

熊送りあばよと言って男も髪を結う

アイヌ語とアイヌ犬と形見のギター

人よりも悲しき指もて氷柱折る

この猫にきみの名前をラフマニノフと

草原につづく本棚を護る冬

死の床に届けられたり雪だるま

肩の雪払ってもらふや人の手に

次の曲は二月の匂ひがします

 

苫小牧テント工業よ宿業の

冬の海乗船名簿に架空の名

渡り漁夫小指じゃみったくないべと言う

船揺れる月から月へと雪しまく

圏外の船圏外の朝をゆく

下船する手紙の封を開けるように

マフラーがきみのあしたを翔けてゆく

 

ほそ道はホテルセブンシーズのフロントへ

松籟に雪だるまや大洗サンビーチ

常澄という駅あり寒九かな

 

アイロンは母のかたちの角度して

左利き父に直されいまを行く

 

雪は匂ふよ 青よりも 白よりも

 

晴眼者 海鼠をそっと握りしめ

 

除雪車を追い越す赤毛のアンに逢いに

 

      いなむら一志さんの霊前に捧ぐ(「二月の匂い」は、稲村一志さんの代表曲)

        




「Hey! 大洗サンビーチ」50句+5句 2014年1月16日寄稿 

☆渡辺とうふ(わたなべ・とうふ 新世紀俳人 東京都青梅市)
 かえってきた渡辺とうふ店 http://yudofu819.exblog.jp/ ( 2014/1/7閉店中 )



※作者の指定により横書きにて掲載しました(事務局)。

2014年1月19日日曜日

俳句集団【itak】第11回句会評(橋本喜夫)


俳句集団【itak】第11回句会評

  
2014年1月11日


橋本喜夫(雪華、銀化)
 
 
そういえばそんな役目もあったな。一回休むとすっかり忘れていて、J子に言われてたじろいだ。すっかり気持ちは閉店ガラガラ状態であった。もう11回目だというのに、60人突破。1月11日という丁度日取りもよかったかも、正月の間に家に居てそろそろ外出して、他人に会いたくなるころである。もちろん第一部イベントの久保田 翠氏見たさもあったろうが・・・懇親会が新年会と受賞祝賀会を兼ねたのもよかったのだろう。閉店ガラガラ状態の心だといつまでも着手する気がおきないので、句会の熱さを忘れないうちに書いてしまおう。いつものように好き勝手を書きますが俳人の広い心をもって御寛恕を。


 雪しんしん人に哲学木に年輪       平 倫子               



高点句であった。私は中七以後の警句(アフォリズム)的措辞が説教くさく感じて取れなかった。ふつうこういう知的操作あるいは人生訓的な句は人気がでないのであるが、なぜ高点句になったか?理由はひとつ「雪しんしん」が良いのである。この措辞を使った句で成功例は筋委縮性側索硬化症で早逝した俳人折笠美秋の「微笑みが妻の慟哭雪しんしん」を思い出す。美秋や掲句のように雪の降る様子を感性だけで捉えて、かっこつけてない純粋な子供のような措辞である。これと大人的な落ち着いた中七以後の措辞がみごとに連結して嵌った句である。


 古書包むセロハンの音読はじめ      ゆうゆう


静かな句である、正月の静謐さを湛えてゆるぎない。セロハンの怪しい、透明性、どこか金属とは違う手触り感、そして微かな音。何か有名な俳人の句集であろうか。昔の句集はセロハンを被覆していることが多い。今は邪魔くさい、手間がかかる感じで装丁上では毛嫌いされる傾向がある。読みはじめに、古書それもセロハンで被覆された書を選んだ選択の確かさに賛辞を送りたい。

 
 初春や黄泉より遠き針の穴       山田美和子


普通は近くで見る針の穴、こんな些細なものが逆に黄泉より遠くに存在しているという決めつけ、アンビバレンスな措辞が成功した。何より???がつき、フック(ひっかける鉤)が効いている措辞だ。こういう措辞を思いついたとき、季語が内包されれば邪魔にならない措辞を置き、季語が内包されなければ邪魔にならない季語を置けばよい。初春というめでたいのであるが、あまり意味をもたない邪魔にならない季語が奏効した。

 
 雪に消ゆまっとうだったはずの道    瀬戸優理子


中七以下たいそう気に入った。こんな素敵なフレーズがある場合は前句でもいったが、邪魔しない措辞がいい。「まっとうだったはずの道」ばりばりに口語調、口語的発想である。そうであれば上五も口語で攻めてほしかった。「雪が消す」ではだめかと思ってしまう。

 
 托鉢の傍らに侍す寒鴉         高野次郎


「托鉢」、「寒い」、「雪」、「冬の鳥」と出てくるものは少し、パターン化されているのは否めない。この句の美点はひとつ。「侍す」である。なかなか使えない動詞だし、ここではうまく嵌っている。もしこの「侍す」ではなくいわゆるビイー動詞であれば、単なる報告句に堕していたであろう。

 
 知床をがっしり掴む鷲の爪       林 冬美


この句も内容的には知床に生息するオジロワシの爪を述べただけで、内容的には不満なのだが、「鷲の爪ががっしり掴む」という表現ではなく「・・・・・・・の爪」と遠近法で小さいものにだんだんとクロースアップする手法が成功の起点となった。それと枝や獲物をつかむのではなく、知床という大づかみなものを掴ませたのも手柄である。

 
 ポインセチア怒りにも似た血管     高橋希衣


頂いた句である。確かに怒った時首や、こめかみに青筋が立つ。それを怒りにも似た血管と表現。怒りのごとく、怒りのようなというより数倍良い表現と思う。そして何が気に食わなくて怒っているか、血管を逆立てているか不明なまま、ポインセチアと取り合わせが成立している。ポンセチアの赤が「血」を想像させる。

 
 かりんとう抱へて星冴ゆる街へ     渡部琴絵


9音+8音のけだるいつくり。最近、私も8+9とか、7+10音とか作って楽しんでいるので、このけだるさにはまった。星冴ゆる街へゆくのに、わざわざかりんとうを持参して、しかも抱えてゆくアンビバレンス。星冴ゆる街をさまようのは小人なのかもしれない。「かりんと星人」が星冴ゆる街を闊歩していたら面白い。

 
 朝刊に触れて冷え込み教えられ     宮沢帆風


言われてみればそうである。この気づきが俳人に必要な着眼点で、こういう句が「目が効いている」といわれ、写生句の大事な観点である。ただ惜しいかな、連用形で終わっている。これだと川柳的なのでやはり連体もしくは終止形で終わりたいものだ。読み下したときに「切れ」がないと感じたのは私だけではないはずだ。一案は「教えらる」と終止形にするか。「朝刊や」で切ればいいのである。比較的強い切れ字である「や」を季語以外に適応するのは違和感のある人は「厚刷や」とか新年の季語を使ったっていいのだ。

 
 燃え移るやうにみみづく発ちにけり   堀下 翔


みみづくの木から木へ飛び移る景を「燃え移る」と表現した措辞は素晴らしい。それとフクロウやミミズクは鳴き声や存在そのものを詠んだ句が多く、「飛ぶ姿」を題材にした名句は今までもないと思われ、そういう意味でも自信を持ってよい秀句だと思う。しかも耳のような羽毛ももつので、とぶときは青白い炎のように見えるはずである。周密な表現である。

 
 門松を猫よぎりたる速さかな     久保田 翠


俳句をやっているわけではないと聞いたが、佳句である。俳句もDNAかと思ってしまう。まず門松と猫を取り合わせた手柄。それぞれはもちろん季語でもあって使用されがちな題材であるが、門松の前を猫が通る句を誰が今まで書いたであろうか?それと「かな」の使用であるが、作者はよぎる速さに感心していることがよくわかる。これが松の内の過ぎる刻の速さと相俟って周密な内容となった。

 
 重ね着の内に裸の私いて        小張久美


これも着眼点がよい。着ぶくれの内側の自分の裸を表現した句はあまりないのではと思う。裸の私かな で終わらせる手もあったが、この表現の方が素直ではある。しょせん着ぶくれていないと生きられない「毛のない猿としての」人間の悲哀も感じられる。

 
 冬晴れや調査書一枚づつたたむ     太田成司


これも特徴の出た作品だ。中七以下でひとつづつ、一枚づつという動作を表現する句はたくさんあるが、「調査書をたたむ」  という行為、営為はごく限られた、限定した業種を示すものである。自分の職業のなかで行われた事、経験した日常をまず詠むことが大事であり、佳句の種だと思う。みんなすばらしい大自然を観たり、すばらしい大景に出会うことは日常生活では無理なので。そういう意味で「冬晴れ」の季語の選択もよい。

 
 味染みぬ玉子のやうな初仕事      大原智也


とても言いたいことはわかる。まだまだ序の口、まだまだ不完全的な表現を「味が染みてない卵」で初仕事をメタファーしてのであるが。味染みぬが文語なので本当に口語で言う「染みていない」という意味で取れるのだろうか?と考えているうちに締切時間が来た感じだ。「ぬ」は否定だけではないので、このあたりはあとから古典の先生Kちゃんに聞いてみるとする。誤解を受けない表現としては「染みてこぬ」「まだ染みぬ」だったらオーケーの感じがするが。

 
 楪や暮れゆく時に指入れて      五十嵐秀彦


最後までとるかどうか迷った句。作者名を聴いて、取らなくてよかったと思った。譲り葉という意味から、子孫繁栄、親から子へ譲るという意味で縁起のよい季語。この句のポイントは暮れかかった時間というものに指を入れている、つまり「掉さしている」と見た。つまり時間がどんどん過ぎて、親が老いてゆくのを「掉をさしたい」という気持ちもあるかもしれない。作者三が日親と過ごして少し苦労したらしい。そんなことを思って、この句を出したのかもしれない。

 
 大寒の鍵穴に星砕く音         籬 朱子


付き合いが長いと誰が作ったかわかるときがある。なぜなら一貫して追求するワールドというか美観があるから。高点句である。そして誰が作ったかわかった。ただし、推定した作者と違う場合がある、この場合は句会では「取りはぐれた」と後悔することにしている。今回の場合はよい句だと思ったが作者がわかったので、遠慮しておいたのである。大寒の季感と鍵穴の冷たい金属感覚、そしてその暗黒の中で星が砕ける(星が爆発する)金属音にも似た音がした という句だ。康秋さんだったか、「大寒や」で切る方がいいと言ったが、私もそう思った。この句の成功はやはり音で終止した、クロースアップ手法の選択と、大寒の「大」と鍵穴の「小」の対比の佳さであろう。

 
 七種やそらで言えなき核家族      三品吏紀


前句と逆でここは切れ字の「や」でないほうがいいと思った。この句の意味というか、コアは今の日本は核家族が多くて七草の種類をそらで言えないということであろう。核家族でなくても空で言えないから、おもしろい決めつけだと思った。ここはより句意をわかりやすくするため「七草をそらで言えざる核家族」でもよかったのではと思う。

 
 朝まだき寒の卵に黄身ふたつ     松王かをり


まだうすあかりの明け方の寒卵を割ったら、めでたいことに黄身がふたつあったという句意である。中七をそろえるため「寒の卵」としたのだが、それが少し気になった。わたしはこういう表現にあまりうるさくしないのであるが、やはり年取ってくると少し気にするんだなーと 句会のとき、自分の老いを感じた。

 
 犇めいてテロかも知れぬ初詣      青山酔鳴


一読面白いのだが、瞬間的に初詣でなくてもいいかも、と思った。テロという言葉も高点句になりえなかった誘因なのかもしれぬ。デモの方がいいのではなんてふざけて思った。叱られそうなのでこのへんにしておきます。

 
 寄り添ひて立寝の馬に寒波来る     小路裕子


寒立馬という季語もあるくらい、やはり寒中の馬は良い。黒い馬体から湯気が立ち上るのが見えるようである。「寄り添って立寝」という措辞がやさしい感じがして、「寒波来る」という厳しい季語の救いになっている。

 
 葉牡丹や騙されていい嘘もある     小張久美


やはり中七以下の措辞はインパクトがある。前述したようにいいフレーズが出来た時はその他の措辞で勝負が決まる。牡丹に似ているが実は花でなく葉っぱが花のように見せている「葉牡丹」はキャベツの変種であるという意味ではやはり騙しているのかもしれない。そう考えると近すぎる季語ともいえるが、中七以下の成語的フレーズを少なくても引き立てて邪魔はしていない。よって佳句としてよいと思う。

 
 雪煙にさっと一句書き付ける     渡辺とうふ


俳人としての日常、そして北海道への挨拶句と思うが、この句の面白味は雪煙を見て句帳に句を書きつけているのではなく、雪煙そのものに書きつけているような錯覚を起こすことと、微妙に中六にして字足らず感を出している。さっとというオノマトペに関しては賛否もあろうが、雪煙とも遠く響き合うのでいいのでは と思った。

 
 ロシア語の消印あはし日向ぼこ     増田植歌


ロシア語のあの字の感じ、たしかにカリギュラフィー 的で、一筆書き的でもあり、知恵の輪的でもあり、不思議な文字だ。書き順どうなんだろうと思ってしまう。そういう意味でロシアからきた葉書なり、「手紙の消印があわい」という感覚は肯える。あとは日向ぼこという季語の選択であるが、たしかに近すぎの感もあるが、中七までの措辞がいいので佳しとしよう。

 
 待ってゐてくれる手袋手を繋ぐ    星のぶあき


こころがほっこりする句である。個人的には幸福感が漂い、心の寒い私としては少し妬ましい感じもする。まず句またがりの「待ってゐてくれる」が泣かせる。作者にとって当然のことが当然でなく嬉しい気持ちが満載だ。もう一人の語り部(作者)はやはり手袋なのであろう。手袋同士が手を繋ぐというどうでもよい内容を今まで詠んだ句はあまりないかもしれない。または手袋をして待っていて、手袋を脱いで、手同士が繋ぎ合っていると読むと、なんか倖せすぎて、違和感を覚える。

 
 夫の読むニーチェトイレに冬深し    ゆうゆう


これは一時はやって売れた文庫本のニーチェ関連本であろう。けっして気難しい夫ではなくて、トイレにはいっている間でも少しでも無駄な時間にせず、人生勉強しようと言う真面目な、生活力のある、団塊の世代のような夫であろう。私も中七までは大変気に入った。問題は「冬深し」の選択であろう。読み手によっては静かさや、ニーチェ哲学の深さを彷彿してよしと思うひともいるであろうが。わたしはもっと軽い、ふんわかした季語でいいのではと思う。たとえば冬隣などでもいいと思った。
 


 
以上です。また機会があったらお会いましょう。

  ※機会は次回3月じゃないかと思いますよ、喜夫さん♪
 みなさまのコメントをお待ちしております(^^by事務局(J)


次回は第11回イベントに参加された東京の俳人・渡辺とうふさんより寄せられた、今回の旅程を詠んだ作品「Hey! 大洗サンビーチ」(50+5句)を発表します。俳句集団【itak】では、参加者のみなさんからの作品をいつでも募集しております。