2015年3月19日木曜日

俳句集団【itak】第18回イベントを終えて

俳句集団【itak】第18回イベントを終えて
「 震災以降問われていること 」
五十嵐秀彦
今回の第1部企画は、北海道新聞社記者で俳人(「銀化」同人)であり、【itak】幹事でもある栗山麻衣さんの講演「震災と俳句」でした。
震災俳句について栗山さんが仕事を通して調べたこと、俳人として考えたことを1時間という短い枠の中で縦横に語ってくれました。
あの天災・人災以降モヤモヤしていたことが今回の話を聴くことで、ずいぶんと整理できた思いです。整理されたと言っても、解決したわけではけしてなく、なにが課題として問われているのかという、そのポイントがようやく姿を成したということだと思います。
照井翠さんの『龍宮』や、永瀬十悟さんの角川俳句賞受賞作「ふくしま」などの、体験からこそ吐露されたような作品もあれば、角川春樹さんの「白い戦場」、長谷川櫂さんの「震災句集」というような被災者ではない作家による震災詠、そしてそれにカウンターのように打ち返された御中虫さんの「関揺れる」など、あの震災以来、俳句表現はまさに激しく揺れたのです。
俳句実作における体験主義的価値観だけではなく、文芸の社会的役割の是非なども強く問われている現状が今回の講演によって浮き彫りにされたようです。
個人的なことではありますが、「メディアの目をとおしての疑似体験で作句はしない」という私のこれまでの姿勢への迷いの中、震災句をあえて一句も詠まずにきた五十嵐秀彦という俳人の立ち位置やその奥にある表現欲求の意味について深く考えさせられました。
参加者の皆さんも、この講演から多くのことを受け取ったものと思います。
イベント後に、とても感銘したとの参加者の反響も多くあり、主催者として実りあるイベントができたことを栗山さんに感謝します。
講演概要は近日中に当ブログに抄録として掲載予定ですので、それをお待ちください。
部の句会も60名近い参加を得て、秀句が多く充実したものとなりました。
終了後の懇親会が盛り上がったのは言うまでもありません。
【itak】はこれからも常に「機会」の提供という役割りを自覚し、北海道の俳句界に一層面白い情況を切り拓くために意欲的なイベントを継続してまいります。
次回第19回イベント(5月9日)はビッグゲストを迎えて三周年記念イベントを計画しております。
今後も【itak】の活動にご注目下さい!


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